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有責配偶者の離婚請求3要件-離婚請求を認める3要件を示した事例-

★事案
昭和62年 最高裁

太郎(明治45年3月生)と花子(大正5年6月生)は昭和12年2月に結婚し、太郎が昭和17年から昭和21年まで従軍した期間を除き平和に同居生活をしていた。この夫妻には子どもが生まれなかったので、昭和23年12月に一郎と二郎を養子縁組した。

太郎は昭和24年8月ごろ明子と同棲を開始し、その後花子とは別居状態である。太郎と明子との間には二子が生まれ、太郎はこの二子を認知していた。太郎は昭和26年ごろ花子に対して、離婚請求を申し立てたが棄却された

太郎は、昭和59年に離婚調停申立てをしたが、不成立となったので、花子に対して離婚請求訴訟を提起した。

★判決
■一審・控訴審
一審、控訴審とも、有責配偶者である太郎の請求を認めることは信義誠実の原則に照らし許されないとして、太郎の請求を棄却した。

■上告審
上告審は下記のように述べ、原判決を破棄し、高裁に差し戻した

「有責配偶者からの離婚請求であっても、夫婦の別居が両者の年齢及び同居期間との対比において相当の長期間に及び(今回は約36年)、その夫婦の間に未成熟の子供がいない場合には、相手方は配偶者が離婚により、精神的、社会的、経済的にきわめて過酷な状態におかれるなどの特段の事情が認められない限り、当該請求は有責配偶者からの請求であるからといって許されないとすることはできない」

■差戻審
差戻審でも、太郎の請求を認め、太郎に対して、月10万円ずつ平均余命の範囲内である10年分の離婚後の生活費にかかる財産分与として1000万円、慰謝料として1500万円の支払いを命じた

■ポイント
有責配偶者からの離婚請求を否定してきた判例を変更し、有責配偶者からの離婚請求を認めた画期的最高裁判決である。この判例により、その後の離婚判例が大きく変化した。
この判例により、有責配偶者からの離婚請求を認める要因が下記の3つであることが明らかになった
① 夫婦の別居が長期間に及んでいること
② 夫婦間に未成熟な子供がいないこと
③ 離婚により妻が精神的・社会的・経済的に過酷な状態におかれるようなことがないこと


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