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過去に過当に負担した婚姻費用の清算金 -財団分与の額に含めることができるとした事例-

★事案
昭和51年 最高裁

花子と太郎は昭和37年2月に婚姻し、昭和38年5月に長女を、昭和44年2月に長男をもうけた。
花子は太郎の女性関係や、太郎が経歴や資格を詐称していたこと、また素行が悪く更正意欲のないこと等のために、昭和44年7月に離婚を決意して実家に帰った。花子は別居にあたり、額面300万円の割引興業債券*を持ち帰った。花子は、別居後昭和51年まで7年以上にわたり、自己及び2人の子供たちの生活費、教育関係費として、合計約1000万円以上支払った。

花子は太郎に対して、離婚、子供たちの親権者を花子と定めること、慰謝料1000万円、財産分与600万円の支払いを求めた。
*割引興業債券
日本興業銀行(興銀)が発行・発売した「割引興業債券」。略して「割興」なので「ワリコー」と名付けられた。

★判決
一審
一審は、花子の請求を全て認めたが、慰謝料は200万円とした。

控訴審
控訴審にて、花子は財産分与の額を
① 太郎所有名義の不動産の時価の4分の1以下にあたる1000万円
② 別居後に、花子が支払った子供たちを含めた生活費、教育費関係費用として1000万円の合計2000万円
に拡張した。
その結果、控訴審は、不動産の清算分等として600万円、過去の生活費、教育費の清算相当額として400万円の合計1000万円の財産分与を認め、慰謝料も300万円とした。

最高裁
最高裁は、「離婚訴訟において裁判所が財産分与の額及び方法ついて当事者双方の一切の事情を考慮すべきものであることは民法771条、768条3項の規定上明らかであり、また、婚姻継続中における過去の婚姻費用の分担の態様はその事情のひとつにほかならないから、裁判所はその財産分与の額及び方法を定めることができるとするのが相当である」とし、控訴審の判決を維持した。

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