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借金と婚姻費用分担額の算定:借金を可処分所得から控除すべきでないとした事例

★事案
平成8年・東京高裁

花子と太郎は昭和61年に婚姻し、平成元年に長男、平成3年に二男、平成6年に三男がそれぞれ生まれた。
平成7年に太郎の不倫が原因で花子と太郎は別居した。
別居後花子は実家の両親と同居したが、平成8年からアパートで長男、三男とともに生活し、また、病院の看護助手として勤務し、手取り収入は6〜7万円程度である。
太郎は両親及び二男と同居し、整体師を開業している。太郎は約10か所から借金をしており、月額26万円を返済している。
花子は太郎に対して、毎月8万円の婚姻費用分担金の支払いを求めた。

★判決
太郎が、同居している母に返済している月額8万円やカードローン、サラ金の返済金が、婚姻費用よりも先に支払わなければならないという、客観的な証拠が無いから特別経費として認めることはできない。
さらに太郎は多額の借金を抱えているが、花子の生活状況は太郎と比較しても極めて厳しく、要扶養状態にあることは明らかである。
したがって、太郎は借金の返済を理由に婚姻費用の分担義務を免れることはできない。
しかも、太郎の不貞が別居の原因であることからすると、太郎の婚姻費用分担の責任は重く、収入の増加や返済方法を変更するなどの努力をしても、婚姻費用を捻出すべきである。
よって、花子が請求する毎月8万円の婚姻費用分担金の支払いを認める。

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